まどか森保は長崎県出身です!

旅と野球とグルメとまどか

#Fまど「まどかの物語」の第2弾「ドールライフ」を書き出し。

youtu.be

 

やっべぇ!遅刻遅刻!

ひろし!あんた今日から大学生ってときに!

ほんとひろしくんって子供の頃から変わらないね。

うっせんだよ、ゆい

かあさん、ほらいこいこ

 

(エンジン音)

 

ほんと、あんたがあの一流大学の大学生になったなんて奇跡だよね。やっぱ空手のおかげかね?

またその話?それもあるやろうけど、それだけじゃないよ、俺の実力よ。じ・つ・りょ・く!そうやろ?ゆい。

そうだっけ?ひろしくんそんな感じじゃなかったかも。

あれぇ・・・ゆい・・・おまえだけは俺の味方じゃないの??

ゆいちゃんそうでしょ?だいたいこの子はちっちゃい頃から空手しかしてなかったのに。大学に頭持ってたなんて。

あれぇ~?まだそんなこと言うの~?

 

私は豊島ゆい、今日はこれから大学の入学式ということで幼馴染の神代浩志くんのお母さんのはからいで、車で大学へと向かっている。

ひろしくんは保育園の時から、家族ぐるみでお付き合いしている幼馴染で高校を卒業する直前に、ひろしくんから告白されて彼氏彼女の関係になった。

幸いなことに2人とも県内でも有数の一流大学に合格できたので、今こうして大学へと向かっているところだ。

 

ナレーション:『まどかのものがたり、第二章、ドールライフ』

 

ああぁ~一日長かったなぁ。

ひろしくん、これからどうするの?帰る?

これから空手部行って~先輩に入学の挨拶をしてくる。先帰ってていいよ、じゃあね。

ひろしくぅん!も~う!・・・帰ろうかなぁ・・・

(パシャ)

えっ?!なになに?!

(パシャ パシャ)

なんなんですか?!いきなり!!

ふふっ、驚かせちゃってごめん豊島さん。なんか教室にいる時から、可愛い子だなぁって思ってたんでつい!

つい!で人の目の前にカメラ向けます?・・・ってなんで私の名前を??

ええっ!?!?!一緒の教室におったやん!!気づかんかったぁ?!ってぇ、しょうがないっかぁ。まぁ今日はじめて会ったんだもんねぇ。じゃあ改めて自己紹介、私は野上飛鳥19歳、よろしく。

えっ、じゅ、十九って一つ上なんですか?

なんか変?

い、いえ、そんなことは。

フフッ、可愛いっ。じゃあ、また明日教室でね、ばいばい!

不思議な人・・・野上飛鳥かぁ・・・

 

でさあ、今三年の先輩と組手をしてるんだけど、ホント強いんのよぉ。一ヶ月頑張ってんだけどさ。全然かなわなくて・・・

とーよしまさん!おはよっ!!

おーい!だ誰だよっ!!

お、おはようございます、、、野上さん。

おいゆい、誰だよ・・・この人

えっ、あぁ・・・ああのぉ・・・野上飛鳥さん。私と同じクラスの。

はじめまして、野上飛鳥です!・・・ねぇねぇ!もしかして・・・!

はっ、はい、一応・・・カレですけど・・・。

へぇえ~~!!豊島さんやるじゃ~ん!しかもカレ、結構顔かわいいし、お似合いよ!

あんまり顔のこと言わないでください!ひろしくん、気にするんで。

聞こえたぞおお!顔がどうしたって?どーーせ俺は童顔ですよーだ

誰もそんなことは言ってないでしょ!

言ったやんか、童顔って!

私は、顔が可愛いといっただけです。

結局一緒やろ~もう顔が可愛いも童顔も!!

話をよく聞きなさいよ~!!

あっ、もう時間。はやく授業に行かなきゃ。ひろしくんまたあとでね。

わかった、じゃあお昼に。

野上さん、私達も急ごう。

ねえ、豊島さん、神代くん・・・だっけ?カレ、なにか部活かサークルしてる?

空手部ですけど。

ふーん、そうなんだぁ・・・

 

ゆい、遅いなぁ。先食べるぞ~?

(パシャッ)

うおっ!なっ、なんだぁ?

ふふっびっくりした!?

あっ。なんだ・・・たしかぁ、のがみぃ・・・

どうも、野上飛鳥です。

なんか用?俺今からゆいとメシ食うんだけど。

豊島さんなら遅れてくるわよ?わかんないところがあったみたいで、終わってからも先生にしつこく質問してたみたい。

あぁそう、で、野上さんは?この俺になんの用なんですか?

私、改めてその可愛い顔見に来たの。

はあ???まだ言うの?顔のこと

そう、そんなに可愛い顔した空手家って見たこと無いから、珍しくてつい!

ずいぶんズケズケと言うんですねぇ。

そりゃ~あなたより一つ年上ですから!てゆうか、ちょっとお願いがあるんだけど・・・・・

なんですか?急に・・・

神代くんが空手してるところを、写真に撮りたいんだけど・・・いいかな?

俺を写真に?なんのために?

私、この間 写真サークルに入ったの。それで6月にサークルの展覧会のために作品を作らなきゃいけないの、それで!

へぇ~わかりました、でいつするんですか?撮影。

今日はだめ?

えっ・・・いやぁ今日はさすがにちょっとぉ・・・

じゃあ後で連絡頂戴!LINE ID これだから!

ひろしくーん、おまたせって・・・なんで野上さんが?

連絡待ってるね。(野上さん退出)

野上さん、なんのようだったの?

いや、、、なんでもない。。。。なんでもないよ!

 

ーーー空手道場ーーー

(パシャ)いい感じ!ひろしくん!(パシャ)(パシャ)かっこいいよ!そうそう!!

ありがとう!凄く良い写真撮れたよ。やっぱり第一線でやってる人はキレが違うわね!

動きを止めたときの力強さが違うもの!ファインダー越しでもよーーーくわかる。

そう?でも先輩と比べたらまだまだですよ・・・

私が言うんだから自信持っていいわよ!

だったら・・・ありがたく頂戴します。

それにしてもその顔立ちの裏に隠してるマッチョさはちょっと反則じゃない?ゆいちゃんもそのギャップにやられたのかなぁ?!

ぇっ、違いますよ、あいつは。

ふーん。。。ねえひろしくん、まだ時間ある?

これから違う場所で写真撮りたいんだけど。

 

さあどうぞ!散らかってるけど気にしないでね?

のがみさん?!ここって・・・

私の家よ?さあ遠慮しないで入って!

おっおじゃまします。。。

なに?女の人と2人きりって初めてじゃないんでしょ?ゆいちゃんの家とかもう何度も行ってるんでしょ?

えっ、そっ・・・そんなことは

えっ!まだ何もしてないの?!付き合ってだいぶ経つんでしょ!?

俺らそんな関係じゃないから・・・・・

ふふふっ、今どきどんな関係よそれ~単にヘタレじゃ~ん

あのっ!写真をとるって言ってましたけど、ここでどんな写真を撮るんですか?

ごめんごめん、そうだった。あのね、私どうしても撮りたい写真があるんだけど、それって流石に体育館じゃ無理なので、私の家に来てもらったというわけ。

えっ、それって・・・どんな?

じゃあまずこれお願い。

こ、これを?!

はいすぐ始める!!

は、はい・・・・・・

どこいくの?ここでいいでしょ?

ここで?!マジで?!

これって、ひろしくんに自信を持ってもらうための練習でもあるんだからね。

わ、わかったよぉすればいいんだろ?

(パシャパシャパシャ)

 

あーゆい!来てくれたんだぁ!

うん!飛鳥の作品を見てみたかったしねぇ~

で、どこにあるの?作品

こっちこっち!まずはこれ、どう?

ああ~すごーい!かっこいい!!あっ!これひろしくん?

そう、この間撮らせてもらったの。かっこいいでしょ?

うん!一緒にいるときと全然顔が違う。すっごいシャープ。こんな表情するんだぁ、驚き。

まぁ、これは私の真面目な部分を表現したものなの。

もう一つの私を表現したものはこっちにある。

どう?これ

あっ!だ、、、大胆!

どう?人形みたいに見えるでしょう?

結構肌の露出が多いね・・・しかも女性ばかり。

そうでもないわよ、何人か男性も混じっているし・・・えっと、この人とか、あと、、この人と、この人もかなぁ。

うそぉ!全然見えない!!

自分の思い描いた通りのシチュエーションで造り込めるから大好きなの!フィルムを使った、絵みたいなものね。ねぇゆい、今度さ、この人形風な写真撮ってみない?

わたしで?無理無理!こんなに可愛くならないもん。

そんなことないわよ!十分可愛いし、素質はあるんだから。

えぇ・・・でもぉ・・・

大丈夫、私に任せて。じゃあ今度撮りましょ。いつが良い?できるだけ早いほうがいいなぁ。今度の日曜は?あっだめ?んーじゃあ、火曜の夜とか・・・・

そうして私は、飛鳥のお願いに応える形で写真撮影をすることになった。

 

(ピンポーン)

いらっしゃい!さあ入って!どうしたの?ゆい。緊張してる?

そりゃそうよ。

みんな最初はだいたいそんなものよ。肌を見せるのが嫌とか、スタイルに自信がないとかいう人、多いんだけど撮影し終わったら誰も文句なんか言わなくなるの。

ほんとぉ?信じていいの?

任しといて!さあ早速始めましょ。まず着替えましょっか。じゃあ、今日は初めてだから・・・まずはこれでいきましょうか!

あっこれ?!写真のよりだいぶ落ち着いた感じだけど・・・

今日は初めてだから、まずは落ち着いたものから始めようと思って。

さあ、ここで着替えて!

ここで?!

大丈夫、私は向こうで撮影の準備するから部屋を出るよ。着替え終わったら呼んで!じゃあよろしく!!

・・・・ほんとに撮影するんだ・・・

ガサゴソ(着替え中)

よし!できた。

あすかー!着替えたよー!!

・・・どれどれ・・・・・!!ああっ!可愛い!えっ!!!!!超似合う!!!!

そうかなあ・・・?鏡ある?

鏡はメイクが終わってから見せるね。

早速始めよっか。まずは、頭にネットをかぶせて

結構きついね、、、

そのうち慣れるよ。はいできた、でぇはい、これ、つけるよ。

コンタクト?

カラコン。人形風にするには瞳の色を変えるのが効果的なの。つけたことある?

一度もなーい

じゃあつけてあげる。まぶたの力抜いて~目は斜め下。おっけ!いい感じ。

じゃあ顔をやっていきますかな。

なんか・・・大丈夫?

いいから!まーかーせーて!!

よしっ!あとはウィッグをつけたら終わりっと・・・

はい完成!!んんっ最高!!んもうどこから見てもお人形って感じ!!!!!

ねえ、鏡見せて?

いいよ、はいどうぞ

えっ、これ・・・・

かなり別人感あるでしょ?

うん!ぜんぜん違う。私じゃないみたい!!

よぉし!早速撮影しましょう!!あっ!その前に名前変えよう。ここだけで使う名前

そうだなぁ・・・よし!シャーロット!シャーロットにしよう!!

えぇ・・・シャーロット?

よーし、じゃあシャーロット。床に座って、足を前に投げ出して。そう、そんな感じ。

で、視線は斜め上にして、少し口を開けて・・・

ちょっと張り切りすぎ!

はい、シャーロットは喋らない!言われたとおりにして!!

ご、ごめん・・・視線は斜め上、口は少し開く・・・

そう!それそれ!!(パシャ)いいよ!可愛いよシャーロット!!(パシャ)

 

ふぅ~どうだった?撮影

何が何だかわからないうちに終わったって感じ。でも、あんまり褒められ慣れてないから、良いよ~とか可愛いとか言われ続けるのちょっとくすぐったかったかなぁ。

今まで言われてこなかったの?

うん、あんまりいなかったかなぁ。

じゃあひろしくんも?

うん、全然言わない。言われたこと無い。

そう・・・・すっっごく可愛いのに勿体無い!

だからあんまり可愛いって言わないで!くすぐったい!!

可愛いって思う人に可愛いって言っちゃいけない??私はシャーロット・・・いや、ゆいは、可愛いし!すっ・・・・

す?

す、素敵だと思うよ

え?それ本気で言ってるの?

うん

ありがとう、そう言ってくれるだけで十分です。

あっ、もうこんな時間、帰らないと。

待って!!

え・・・・・・・・・・・・な、なに?!なんで?!

今日は・・・一緒の時間をありがとう、ゆい。

 

私は無意識に飛鳥の家を飛び出していた。

撮影のときのなんとも言えないむずがゆさと嬉しさ、そしていま感じた飛鳥の・・・

ごちゃごちゃになったこの気持ちを振り払うように、とにかく家へと走った。

 

(パシャ)シャーロット!いいよ!可愛い!(パシャ)そうそう!(パシャ)

夏に差し掛かったある日、私はまたシャーロットとして飛鳥の被写体になっている。

場所は飛鳥の部屋。人形としてのシチュエーションにリアリティを求めて、飛鳥が撮影場所を決めた。(パシャ パシャ)初めて撮影したときの、あのごちゃごちゃした気持ちを忘れたわけでなかった。(パシャ)でも、カメラで撮られたときのむずがゆさと嬉しさが時間とともに身体の中を駆け巡り、もう一度、もう一度と求めていた。(パシャ)

そして、場所の効果を相まって、はじめての撮影のときよりもっともっと大胆に。飛鳥の前ならさらけ出せそうな気がしていた。(パシャ)

オッケー!最初よりすっっごくいい感じ。ファインダーからも何かつかめたって感じ、伝わってきたよ!!

そう?

でも、こんなに早く二回目が撮れるなんて思ってなかった。どうしてオッケーしたの?

なんか・・・この間写してもらって、私という殻を打ち破れそうな気がしたから。自分じゃない何かになるっていう経験は、思った以上に人を大胆にさせるし。シャーロットっていう、私とは違う存在であっても、あの時褒めてくれた事が心の中でちょっと自信にもなったかもしれないから。

そっかぁ!別れ際にあんなコトしたからてっきり怒ってると思ってたけど・・・

怒るっていうより・・・驚いた。どうしたらあんな行動ができるのかっていうのに。

だからあんな形になってしまったのかな・・・

もう怒ってない?

うん

ふふ、よかった!あっ飲み物持ってくるね。

ありがとう。

ねえ、壁に貼ってあるのって飛鳥が撮ったもの?

そう!最近の物もあるよ。

この写真・・・・・・・

ゆい??なんか気になるものあった?

ん?いや~気のせいかな。知ってる人に似てたから。

ああ~!これは心美ちゃん!最近撮った人形ちゃん!

後少ししたら、シャーロットの写真をレタッチしてここに飾るわ。とっても楽しみ!!

 

ゆいーーーーー!!

あっ、みさ!ともこも!

えっ、1人なの?カレは?

見たら分かるでしょ!!

ひょっとして・・・心に何か抱えてるものがあるのかな?友達の私達でよければ相談に乗ってさし上げますよ、お嬢様。

なんか夏前から、部活が忙しい、試合が近い、バイトの日だ、とか言って全然会ってくれなかったんだよねぇ。LINEしても既読スルーだし。おかげで夏休みは2人でお出かけは一切なし。どこへも行かず、バイト三昧でしたよ~

えぇ・・・それってあれ?自分から告白しておいて、オッケーもらったらほったらかしてもついてきてくれる。大丈夫、とか思ってるヤツ。

ん~だったらずいぶん無責任よね・・・

ほんと!告白したときのあのセリフは嘘だったのかねぇ?

笑笑

あ、ところで、最近、飛鳥も見ないね。

そうねぇ、どうしたの?

なんか夏休み中、大学祭の展示の撮影であちこち飛び回ってるって。

うーんそっかぁ、夏休み挟むと人間関係も変化するのかねぇ?

ピロピロ(携帯が鳴る)

あっ、ちょっとごめん!

はい!ああぁはいそうです、はい

 

あのさぁ・・・ゆい、ちょっと言いにくいことなんだけど、聞いてくれる?

なに、ともこ、急に改まって。

実は・・・その・・・ひろしくんなんだけど、私、見ちゃったんだよね。

え?何を?

カレが、夜のお店でバイトしてるところ。

あっ聞いたことあるよ確か居酒屋でしょ?

違うの、カレ、ぜんぜん違うところで働いてるの。

は?どういうこと???

 

(足音)

うーん、確かバイト帰りだったかなぁ

駅についたときにひろしくんが入れ違いで駅から出てくるのを見たの。

で、1人で飲み屋街の方へ歩いていったの。気になったから後をつけたら・・・・そのまま・・・ビルの中の、あるお店に入ってったの。

それで???

それで、お客さんのフリして中に入ったら・・・そのお店・・・

ここね。

いらっしゃいませ!おひとりさまですか?

はい

カウンターどうぞ!おひとりさま、はいられまーーーーーす!

いらっしゃいませーこちら、、、どーz・・・ぞ?

何してるの?ひろしくん。

ゆ、ゆい・・・・・

 

ともこから聞いたの、ここで働いてるって。いつからなの?

夏休みに入った・・・頃、かな。

どうしてここで?

実は・・・5月に、野上に誘われてサークルの写真展用の作品作りに協力した。

空手の写真があった、あれね。

そう・・・で、空手の写真を撮った後に自信を持ってもらうための練習って言って、アニメの女性キャラクターのような写真を撮った。

あの時のにはなかったよね?

写真を撮ったときは自身を持つっていう目的が合ったから写真に撮られることに、特に抵抗は感じなかった。ただ、出来上がった写真を見た時、自分でもなんとも言えない感情が湧き上がってきて。この写真を人に見せるのは危険だって思ったんだ。だから写真を表に出すのを強く拒んだ。

そう・・・

だけど、写真のデータはもらったので、携帯に保存してたんだ。しょっちゅう眺めてたら、だんだんこの姿も悪くないと思うようになってきたんだ。自分の中に、こんな自分もいるんだ、って。そしてそのうち・・・だんだん・・・本当の自分はこの写真の方じゃないかって思ってきたんだ。空手をして強く見せている自分は実は自分を偽ってたんじゃないかって。そんな気持ちが溢れ出してきて、感情を抑えられなくなったときに飛鳥から連絡があった。また、作品を撮りたいって。

で、作品を撮っていく中ではっきりわかった!本当の自分はこれなんだって。

そしてこの感情を満たしてくれる場所をネットで探したら、ここが載ってたので来てみて、マスターと話をするうちに意気投合して・・・働くようになった。

はあ?そんな話・・・どう信じろっていうの?

嘘みたいな話かもしれない!でも本当なんだ!!写真を見たときに、何か自分の殻がひとつ弾けたような感じがしたんだ!偽っていた自分を暴かれたような、何か不思議な気分になったんだ!だから!!!

・・・・・その写真って、まだ飛鳥が持ってるの?

多分・・・あるはず。展示してなかったら。

わかった。で、このバイトいつまで続けるの?

・・・ご、ごめん

あとそんな格好、街ナカでしてないわよね?

街ナカでは普通にしてるよ。この格好はお店だけだよ。

ひろしくん、あなた私の彼氏よね。彼氏って思っていいんだよね?

それは打丈夫だから!安心して。

信じて・・・いいよね?

うん

じゃあ帰る、ばいばい。

ばいばい、また連絡する。

(店を出る)

 

(足音)

気がついたら、飛鳥のマンションの前にいた。

どこをどう来たか、記憶が曖昧だった。

何か、裏切られた。そんな感じもした。そして、その裏切られた原因に決着を付けたいと思った。

(ピンポーン)

はーい あ、ゆい、どうしたの?

入っていい?

どうぞ

いらっしゃー・・・ん?なに?ゆい、なんかあったの?

やっぱり。ねぇ、この青い服の人って、もしかしてひろしくん?

はあ?違うわよ!それは心美ちゃんでしょ。

とぼけないで!これ、ひろしくんでしょ。

そうよ、それがなにか?

なんてことしてくれたの!!あなたのせいでひろしくんおかしくなっちゃったのよ!

カレがどうしたの?

ひろしくん、この写真を撮ってから・・・

ひろしくんがそうなったの、私のせいだというの?!

それ以外なにかあるの?

だったら違うわ、私のせいじゃない。

どういうこと?飛鳥との作品つくりで・・・

もしかしたら、きっかけは私かもしれない。でもそれはあくまでもきっかけであって、私がそうなるように仕向けたわけじゃない、なるべくしてなったのよ!

飛鳥じゃなくて、誰がきっかけでもそうなるということなの?

写真を撮った時、わかったの。カレ、ひろしくんはきっとこうなるって!!

(何かをめくる音)これは・・・・?

壁の写真以外の私が撮った写真、その表情よく見て。最初からなんともいえない嬉しそうな顔してるでしょう?私が指示したわけじゃないの。カレはもしかしたらこうなる事を自分から望んだんじゃないの?そのきっかけを私に押し付けるように、考えを変換したんじゃないの?

うそ・・・・うそよ・・・・・

そう思うなら、もう一度ひろしくんに会ったら?でも会えば傷つくだけよ。私ならそんな想い・・・させない、絶対に。

どうしてそう言えるの?

ゆいが・・・・好きだから・・・・

バタン(扉が閉まる)

 

嵐のような一日が終わった。私はそれから二日間、大学もバイトも休んだ。

ひろしくんのことと、飛鳥の告白。そして、自分の心を整理する時間が欲しかった。

そうしてないと自分が壊れそうだったから。

そして三日目。

 

(ピンポーン)

はい

ゆいです、そっち行ってもいい?

えっ、いまから?

いいよね?彼女なんだから。何か隠したいことでもあるの?

い、いや・・・どうぞ

(扉が開く)いらっしゃい。

何その格好・・・

あぁ・・・ああ、これ。。。

中はいるよ。

あっ、ああちょっとまって!

なんなのこれ!これがひろしくんの本当の姿なの?洋服も下着も靴も・・・お店以外ではそんな格好はしないって言ってたの、あれ嘘だったの?

ち、ちがう、違うんだ。

何が違うの!?言ってた事、嘘ばっかりじゃない!!彼氏と信じてた私の気持ちどうしてくれるの?!

わ・・・いや・・・そ、その

もう耐えられない、別れる!別れてやる!!

ちょ、ちょっと待て!わかった、もう辞める。全部捨てて、何もかも忘れて、もう一度やり直そう!!!ね?!

い、いや!やめて!離して!離してよ!

離さない!もう離さない!これからはゆいだけを見て生きるよ!頼む、信じてくれ!

やめて!はなして!!

ひろしくーん?私でーす!入りますよーーー!!

ま、マスター!?ああっ・・・そうだった・・・・・今日は・・・

あ、なたは・・・お店のマスターさん?

ひろしくん何してるの?ガッツリ女の子抱きしめちゃって!先客がいるならいるって連絡してよね~???

どうして?呼び鈴も鳴らなかったのに、家の中へ。

アタシ、この家の合鍵持ってるの~~~!それだけ、ふっか~~~い仲なのよ♂

ひろしくん・・・さよなら。

ゆい待て!今でも本当に好きなんだよ!信じてくれよ!!

(バタン)扉が閉まり、しばらく沈黙

 

もう、もう嫌!いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!

 

沈黙

 

それからの私は、何を見ても何を食べても、全く感情が動かなくなった。

死んだ魚のような目をして、抑揚のない喋り方をして、涙を一滴も流さない。

そして人と関わることを一切やめた。

ただ一つを除いては。

 

さあ着いたよ、ゆい。ううん、シャーロット。

寒いからこのブランケット着てね。

街ナカで倒れたゆい、いや、シャーロットは入院した。

退院後、私に言った。シャーロットとして生きることを。

そして、家を引き払い私の家でひとり、人形のように生活している。

時々、私の作品作りに協力してくれる以外は何もしない。

でも、時々外へ連れ出してあげると、うっすら笑みを浮かべる。

私はそんなシャーロットが限りなく愛おしい。

そして、私の命ある限り シャーロットを愛してあげたい。

今はそう思っている。

 

ーーーーーーENDーーーーーー

 

「まどかの物語」の第2弾「ドールライフ」

豊島ゆい:森保まどか

神代浩志:下野由貴

野上飛鳥:豊永阿紀

ひろしの母:秋吉優花

ミサ:武田智加

トモコ:深川舞子

マスター:萬石洋文

演出:Dマンゴー

作:森保まどか深川舞子、Dマンゴー

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